金融機関の行う自己査定とは?


 金融機関では自己査定を行い融資先を区分しています。

 この自己査定には2つの目的があります。金融機関として将来の貸倒れに備えて引当金を積むため、不良債権額、同比率を算定するためです。これらを開示することは、お客様が安心して取引をするための前提となります。

 正常先、要注意先(その他要注意先、要管理先)、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先と区分されますが、この債務者区分をイメージすると、以下のようになります。

  •  正常先は黒字で資産超過、延滞等も無い先、
  •  要注意先は赤字により軽微な債務超過に陥ったり、ときどき延滞する先
  •  破綻懸念先は赤字が連続し債務超過に陥ったり、3か月を超える延滞先
  •  実質破綻先は1回目の不渡り、弁護士に債務整理を委任したり、延滞が6カ月を超える先
  •  破綻先は手形交換所の取引停止処分をうけたり、破産等した先

 それでは不良債権とは、どの債務者区分からかというと 要注意先の中の要管理先以下が不良債権となります。要管理先以下が不良債権となりますので、円滑な融資取引を目指すうえでは制約が出てきます。なお実質破綻先以下での新規融資取引はあり得ません。

 注意しなければならないのは、ときどき赤字となるような要注意先の中小企業が、借入金の返済の軽減など条件変更等を依頼すると、要管理先以下にランクダウンしてしまうことです。そこで一定の条件を満たした経営改善計画(実抜計画)が必要となってきます。