(解説)動き出した貸出金利

 

日本銀行は20243月、8年ぶりにマイナス金利政策を解除し、20247月、20251月と相次いで政策金利を引き上げている。

 

業態によってスピードは異なるが、各金融機関では、この後の政策金利引き上げも見越して預金金利と貸出金利の引き上げに動き出している。

 

貸出金利の基準となる短期プライムレートは、メガ銀行では3月から順次、1.625%から1.875%へと引き上げを予定しているが、そもそも、この短期プライムレートは一定ではなく、金融機関によってばらつきがあるので注意が必要だ。

 

また、貸出金利の基準は、地域金融機関では短期プライムレートが主流であるが、メガ銀行等ではTIBOR(銀行間取引金利)が主流であることも注意が必要だ。

 

一方で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りは、足元では1.4%を超え、長短の金利差はフラットな状態からイールドカーブを描き出しており、先行きの金利動向には注意が必要だ。

 

一部金融機関では、預金金利の引き上げによる支払利息の増加が先行し、さらに、長期金利上昇に伴う債券価格低下による国債など保有債券の含み損の懸念もあり、貸出金利引き上げの対応を積極化させているようだ。